『おるすばん』
森 洋子 作
福音館書店
2024年12月刊
❖静まり返ったときの心細さ
先日、友人と訪れた街の小さな本屋で、一冊の絵本に目を奪われました。なんだか懐かしいオレンジ色。友人と話しながらページをめくると、静かな家でこたつにもぐり込む子どもの姿。まるで幼い頃、夜が怖くて布団に隠れた自分を見ているようでした。「あの頃、こんな気持ちの時があったよね」。お互い静かにうなずきました。
ページをめくると、そこには忘れかけていた子どもの心細さや、それを乗り越えた小さな勇気が丁寧に描かれていました。その瞬間、子どもたちにも届けたいと思い、迷わず手に取りました。
主人公のあっちゃんが幼稚園から帰ってきたある日、おばあちゃんの具合が悪いとの連絡が入りました。お母さんは急いでおばあちゃんの様子を見に行くことになり、あっちゃんは初めて一人でお留守番をすることに。
しんとした家の中、あっちゃんが少し心細くなり始めたとき、なんと台所からガタガタと音が聞こえ始めました。驚いて見にいくと、なんと料理道具や、野菜たちが踊りだしたのです。びっくりしてこたつにもぐり込んだあっちゃん・・・。
(次のページに続く)