ただのこたつも

おるすばん

森 洋子 作
福音館書店
2024年12月刊

静まり返ったときの心細さ

先日、友人と訪れた街の小さな本屋で、一冊の絵本に目を奪われました。なんだか懐かしいオレンジ色。友人と話しながらページをめくると、静かな家でこたつにもぐり込む子どもの姿。まるで幼い頃、夜が怖くて布団に隠れた自分を見ているようでした。「あの頃、こんな気持ちの時があったよね」。お互い静かにうなずきました。

ページをめくると、そこには忘れかけていた子どもの心細さや、それを乗り越えた小さな勇気が丁寧に描かれていました。その瞬間、子どもたちにも届けたいと思い、迷わず手に取りました。

主人公のあっちゃんが幼稚園から帰ってきたある日、おばあちゃんの具合が悪いとの連絡が入りました。お母さんは急いでおばあちゃんの様子を見に行くことになり、あっちゃんは初めて一人でお留守番をすることに。

しんとした家の中、あっちゃんが少し心細くなり始めたとき、なんと台所からガタガタと音が聞こえ始めました。驚いて見にいくと、なんと料理道具や、野菜たちが踊りだしたのです。びっくりしてこたつにもぐり込んだあっちゃん・・・。

次のページに続く

神原えみ について

湘南在住の2児のママ、(かんばらえみ)です。ペンネームはモンテッソーリガイドえみとして執筆をしています。『分かりやすい!モンテッソーリ教育』、『幼児教育をはじめる前に読む本』、『ORIGAMIはじめてのおりがみ(日・英バイリンガル)』といった書籍を出版してきました。普段は、インターナショナル園に勤務をしながら、「ママも子どもと同じくらい自分を大切に」を理念に活動をしています。さらに、2026年5月にはメキシコで開催される国際モンテッソーリ大会にて、モンテッソーリ教育とおりがみを融合させた書籍をご紹介します。