子どもの気持ちをグッとつかむ

ハコくん

北川チハル・文
かしわらあきお・絵
CATパブリッシング
2025年2月刊

他者とどう向き合うか

この本を読み終えたとき、ふと胸が温かくなる感覚に包まれました。登場人物は、ハコくん、ねこ、そして駅長さん。無邪気な心を持つ三人が、互いに本音をぶつけ合いながらも、少しずつ心を通わせていく物語です。初めてハコくんが動いて喋ったときは、「違和感があるな」と思いました。しかし、読み進めるうちに、その愛らしさに惹かれ、最後には「ハコくん、かわいい!」と自然に思えるようになりました。

物語の舞台は近未来の駅。駅長さんに拾われたハコくんと、ねこが一緒に駅で働くことになり、試行錯誤しながら役割を果たしていくという展開です。この物語の魅力は、ただのファンタジーではなく、「本当の自分の気持ちをどう表現するか」「他者とどう向き合うか」というテーマが込められているように思います。言葉にすれば簡単ですが、実際に本音を伝えることは難しいものです。ハコくんやねこ、駅長さんがその過程でぶつかり合うと同時に、自分の気持ちと向き合いながら少しずつ相手を理解していく姿は、まるで私たちの日常を映しているようでした。

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神原えみ について

湘南在住の2児のママ、(かんばらえみ)です。ペンネームはモンテッソーリガイドえみとして執筆をしています。『分かりやすい!モンテッソーリ教育』、『幼児教育をはじめる前に読む本』、『ORIGAMIはじめてのおりがみ(日・英バイリンガル)』といった書籍を出版してきました。普段は、インターナショナル園に勤務をしながら、「ママも子どもと同じくらい自分を大切に」を理念に活動をしています。さらに、2026年5月にはメキシコで開催される国際モンテッソーリ大会にて、モンテッソーリ教育とおりがみを融合させた書籍をご紹介します。