その9『1ねん1くみ』シリーズ--読者はきっと好きになる
『1ねん1くみ』シリーズ
(後藤竜二・作 長谷川知子・絵 ポプラ社 1984年~2009年)
◆暴れだしたら
『1ねん1くみ』シリーズ(全25巻)の第1巻『1ねん1くみ1ばんワル』は、「くろさわくんて、わるいんだよ。1ねん1くみで、1ばんワル」という書き出しで始まります。
くろさわくんは主人公ではありません。主人公はクラスメートの「ぼく」です。ぼくがくろさわくんとのエピソードを一人称の語りで語っていきます。なので、この「1ねん1くみで、1ばんワル」というは、ぼくの偽らざる気持ちなんですね。
くろさわくんがどれほどのワルかというと、ざっとこんな感じです。自転車をぶっ飛ばしてみんなを追いかけまわすわ、こじまくんにからかわれてキレると襲いかかっていくわ、授業中に勝手なことを言って騒ぎだすわ。先生が注意してもへっちゃらで、ときには「あっかんべー」も。くろさわくんが暴れだしたら、授業中でも1ねん1くみはめちゃくちゃになります。
ぼくにはいつも命令してくるし、みんなに相手にされないとぼくにちょっかいをかけてくるし、パンチやキックが飛んでくることもあるので、泣き虫のぼくは、くろさわくんにいじめられていつも泣いています。
(次のページに続く)