『オオカミグーのはずかしいひみつ』
きむらゆういち 作
みやにしたつや 絵
童心社
友だちのお母さんと自分の母を比較してしまう経験はだれでもあると思う。歳を比べたり、容姿を比べたり・・・友だちのお母さんに引け目を感じてしまうあまり、親兄弟の話題になると口を閉ざしたくなる気持ちになった人もあるだろう。私もそのひとりだ。
母は私が子どものころから工場で働いていて、仕事の行き帰りはいつも工場の作業服。その姿を友だちに見られたくなくて、きれいな洋服で仕事に行ってほしいと母に何度も無理を言ったものだ。
そんな経験をしたことのある人の胸にチクリと刺さる絵本があるので紹介したい。
オオカミのグーはお母さんがきらいだった。だれが見ても、グーのお母さんは生みの親ではないことがわかる。そのことをグーはずっとはずかしく思っていた。お母さんのことでいじめられたりもした。だからグーは、できるだけ遠い山に行って遊ぶことにしていた。友だちがお母さんのことを知らないからだ。
やがて成長したグーはケンカが強くなり、グループのリーダーとなる。しかしグーのことをよく思わないライバルグループのオオカミたちが、ひきょうな手を使って、グーをボコボコにする。そのとき助けが現われるのだが・・・。
こんな子どもを持つ母親はどんな気持ちだろうか。お父さんたちはきっとわからない。「この不孝者!」と怒るだけだ。でも母親は、グーのようなろくでもない子どもも見捨てたりはしない。男親には理解が及ばないが、子どもを思う母の愛はとてつもなく強いのだと思う。
本書を母の日やお母さんの誕生日に、お父さんがお子さんに読んであげてほしい。目頭が熱くなるのを我慢せず、お子さんといっしょに、お母さんのやさしさ、子を思うお母さんの愛をかみしめてほしい。
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