日本児童文芸家協会理事として、作家としてご活躍中のささきありさんが、このたび、ひろすけ童話賞を受賞されました。ささきさんに受賞作『おならくらげ』にまつわるお話をお聞きしました。
◆寝かせておいたからこそ、見えてきた
――第27回ひろすけ童話賞のご受賞、誠におめでとうございます! まずご受賞の感想をお聞かせください。
ありがとうございます。とても光栄なことだと思っていますが、これまでの受賞作がすばらしく、自分からは遠く離れた場所にあることだと思っていたので、未だどこか人ごとのようで、自分のことのように感じられません。
――受賞作『おならくらげ』を書くきっかけはどういうものだったのでしょうか?
この物語を最初に書いたのは、11年前でした。最初の着想は、物語の中にあるとおり、お風呂のなかでおならをしたとき、くらげになりそうだなと思ったのが、きっかけです。
――最初に書いたのは、11年前なのですか!? 一度書いた作品を何度も練り直したのですね。書き手にとって粘り強く書いていく秘訣などあれば教えていただけますか?
11年前に書いた作品は、放っておいたんです。3年前、絵本のグループ展に出品する際、放っておいた作品を思い出し、絵本テキストに改稿しました。それが、編集者の目にとまり、「低学年の読み物にしてはどうか」と、ご提案いただいて、再び改稿したんです。なので、中学年読み物→絵本テキスト→低学年読み物という改稿過程を経ました。
秘策といえるかどうかわかりませんが、放っておく、言い換えれば、寝かせておいたからこそ、見えてくるものがあり、最初に書いたものより深く考えることができたように思います。
ささきあり
千葉県出身。出版社勤務後、フリーランスの編集記者となる。『おならくらげ』(フレーベル館)で、第27回ひろすけ童話賞受賞。著書に『ふくろう茶房のライちゃん』(佼成出版社)、『せんそうってなんだったの? 父ののこした絵日記』(学研)、「おんなのこ めいさくえほん」シリーズ(西東社)などがある。日本児童文芸家協会会員。
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