太陽がほしかった王様(1/8)

文・伊藤由美   絵・伊藤 耀

むかし、まだ、インドがマガタと呼ばれていたころ、一人の王様がいました。
王様は、それはもう、たいそうな金持ちでした。いくつもの金山と銀山、数え切れない宝石の島々を持っていたからです。
その姿は目もくらむばかり。黄金の冠をかぶり、全部の指に宝石の指輪をはめ、うでにはうで輪、耳には耳輪、鼻には鼻輪、胸には、ジャラジャラと、首輪・・・、いえ、首かざりをぶら下げていました。

7つの宮殿は、どれも、真っ白な大理石。広い庭には南国の珍しい花が、いっぱい、咲いていて、ゴクラクチョウがきれいな声でさえずり、トラやヒョウ、金色のヒヒなんかが、のんきに遊んでいました。王様の軍隊はとても強く、世界中の国々が王様の前にひれ伏していたので、欲しいと思うものは、どんなものでも、すぐに、手に入ったのです。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井市在住。 ブログ「絵とおはなしのくに」を運営するほか、絵本・童話の創作Online「新作の嵐」に作品多数掲載。HP:絵とおはなしのくに

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに