アゴタ・クリストフ
『悪童日記』
◆あらすじ◆
戦災を逃れようと、大きな町から双子を連れた母親が、小さな町の実母を頼ってやって来る。“魔女”と恐れられる実母に双子を預けて、母親は去って行く。その日から、祖母と双子の暮らしが始まった。苦しい生活の中、祖母は双子に厳しく接し、労働を覚えさせ、困難な現実を凝視させるように仕向ける。
双子は悪環境に順応し、家に唯一、置いてあった聖書を教科書として、読み書きを学ぶ。二人は片時も離れることなく、協力し合って、心と身体を鍛錬していく。
外見は、皆に称賛される美少年に育った二人だが、生き抜くために、盗みもゆすりも、時には殺人さえも辞さない、恐るべき人格が築きあげられていく。