終戦間近、小さな町は他国に占領される。
荒んだ町の空気に染まったかのように、双子は戻って来た母親からの「一緒に逃げましょう」という誘いを頑なに拒否。やりとりの最中、母親は生まれたての赤ん坊もろとも、祖母の家の庭で爆死。双子は淡々と、その様子を見守る。
迫害を受ける父親も、双子の元へ戻って来て、「国境を越える手助けをしてくれ」と頼む。双子は快諾し、父親を導くが、双子の思わく通りに父親は国境近くで爆死。双子のうちの一人が、父親の屍を踏みつけて、無事に国境を渡る。そして残った一人は、祖母の家へ。祖母は、すでに自らが望んだ通り、双子によって脳卒中の発作の後、毒殺されていた。
センセーショナルな内容でいながら、どこかファンタジックなこの物語は、戦争の色が濃く、悲惨な状況で生きる人々の様子を易しい言葉で、寓話的に綴っている。
原書では『大きなノート』という題がついていて、双子が日々の出来事をノートに記したように書かれている。
2013年には、ドイツ・ハンガリー合作で映画化された。日本では糸井重里が、この物語に影響を受け、1989年に任天堂から『MOTHER』という人気ゲームを生み出した。(1988年ハンガリーで刊行)