プロポーズ
幼馴染のキリ君が、今、もうれつにハマっているのは、お菓子占いらしい。
クッキーをお皿に放り投げて、表か裏かで今日の運勢を決めたり、ソフトクリームの段の数で、ハッピーの度合いを計ったり。
「あっ、そう」
非現実なことに関心を持たないルナは、目の前で夢中で語るキリ君を、あきれながら眺めていた。
「しゃべるのはいいから、食べたら? でなきゃ、あなたのドーナツも、あたし、もらっちゃうよ」
昔から、自分より女子力が高く、少し子どもっぽいキリ君だけど、ルナは大人になってからも、暇があれば、キリ君の誘いにのって、休日を過ごしている。
キリ君といると、なんとなくリラックスできるんだ。
「ドーナツくらい、あげるよ」
と、キリ君。
「でも、その代わり、お菓子占いに一回、付き合ってくれよ」
「しょーがないなぁ。時間たつと、味が落ちるよ」
大人の会話じゃないな、とルナは心の中で苦笑いしながらも、キリ君の願いをかなえることにした。