ステルスおばあちゃん(6/8)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

6 さらわれたミエンダー氏

朝も6時。そんな早くから、多田君がたずねてくるなんて、めずらしいことでした。
「おはようっす、ハツさん! このごろ、パトロール、してないそうすね。町は、大変なことになってますよ。『正義のステルスおばあちゃん』が現れないのをいいことに、カラスはベランダや庭をあらし放題! 公園でも、ヘビが来るんで、親鳥たちは気が気じゃない。ヒナたちも、こわがって、巣の中で、ピイピイ、ふるえているすよ!」
「何ですって!?」
ハツさんはあわてました。

「ミエンダーさん、ごめんなさい! きょうの映画鑑賞は、夕方まで、延期にしてくださいね。私、町を、一回りしてきますから! コスモさん、ミエンダーさんをよろしくね!」
「いいですとも、母さん!安心して、町の平和のために、出かけてください。あとは、私と多田君に任せて」

ハツさんは、久しぶりに、クローゼットから白鳥のつばさを引っ張り出し、スタングラをうでにはめて、「シュワッチ!」と、出て行きました。
その時、何だか、コスモ博士と多田君が、目配せしたような気もしましたが・・・。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井県福井市在住。 『指輪物語』大好きのトールキアン。その上にトレッキー(「スター・トレック」ファン)でシャーロキアン(「シャーロック・ホームズ」ファン)と、世界3大オタクをカバーしている。

伊藤耀 について

(いとう ひかる)1992年福井県福井市生まれ。仁愛大学人間学部心理学科卒。いつもはウサギばかり描いているが、ときどき、母親の童話に挿絵を描いている。福井市在住。創作工房伽藍で勉強中。