あの子 ーーBOOK展2023より

文と絵・田村理江

毎年ギャラリーウシンで開かれていたBOOK展も、今年で12回目。本好きな人たちによる“本の世界を楽しむ”展覧会で、年ごとにテーマが決まっていました。
今年のテーマは“ガリ版”。オーナーさんがアンティークのガリ版機を手に入れたことから企画が始まり、私もガリ版にまつわるショートストーリーと絵を5作、創りました。展覧会は終わりましたが、そこで公開した作品を皆様にも読んでいただけたら嬉しいです。
BOOK展の様子はこちらから→BOOK展2023を終えて
動画はこちらから→YouTube「BOOK展2023」

まだパソコンもプリンターも普及していなかった昭和時代に、誰もが身近な印刷機として触れていた“ガリ版”。「懐かしい!」と記憶をたぐる方にも、「ガリ版って何?」と首をかしげる方にも、ほのかなインクの匂いが届けられたらいいなと思います。

『あの子』
小学校時代、私は新聞委員で、ガリ版を使って学級新聞を作っていました。友だちの家に集まって編集会議をして、本物の新聞のようにロゴに凝ったり、四コマ漫画を載せたり。クラスで配った時の反応も気になったものです。本棚の奥にいまだに取ってある思い出の新聞。遠い記憶を呼び覚ますガリ版刷りの学級新聞を作品にしてみました。

田村理江 について

(たむら りえ)東京都生まれ 成蹊大学文学部日本文学科卒業。日本児童文学者協会第15期文学学校を終了。 第6回福島正実記念SF童話賞を受賞して、『ガールフレンドは宇宙魔女』(岩崎書店)を出版。 児童書の作品に『リトル・ダンサー』(国土社)、『夜の学校』(文研出版)、『魔の森はすぐそこに・・・』(偕成社)など。絵本の作品に『ふなのりたんていラッタさん』(フレーベル館)、『ハンカチのぼうけん』(すずき出版)など。 HP:田村理江のページ