おふろからあがって、ぼくたちは、へやで、ごはんをまっていた。
すると、ふすまが、音もなく、ス~~~ッ・・・。
「おばけじゃ、ないんだよね?」
ぼくは、おそるおそるきいた。
「はい、おばけじゃありません。おしょくじを、おもちしました・・・」
やせこけて、青白いかおをした、女の人が、ぼくの方を見て言った。
まっかなくちびるをつりあげて、ニマァッとわらいかけてくれた。
「な~んだ。おばけなんて、いないじゃない。こわがって、ソンしちゃったよ」
おなかもいっぱいになって、ぼくは、おふとんでゴロゴロしながら言った。
さいしょのおばあさんも、おふろのおじいさんも、さっきの女の人も、おばけじゃなかった。
そりゃ、みんな、ぶきみだけど、でも、ただの、りょかんの人たちだ。
「だろ? おばけなんて、いないのさ。ただの、うわさだよ」
パパが、がっはっはとわらった。