いえいえ、おばけじゃありません(4/4)

文と絵・ひなたのんき

まよなか。
ぼくは、おしっこがしたくてめがさめた。

このりょかんは、トイレも、古くて暗いんだけど、ぼくはもう、こわくない。
だって、おばけなんて、いないから。
おきあがったら、まくらのよこに、白い女の人が、ボ~~ッ・・・。

ぼくは言った。
「おばけじゃなくて、りょかんの人でしょ?  だいじょうぶ。ぼく、一人でトイレ、行けるから」
女の人は、
「いえいえ、おばけなんですけど・・・」
って言った気がしたけど、ぼくはねむかったから、一人でトイレに行って、さっさとねた。
(おしまい)

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。