また、60日もがんばった王子がいました。
照りつける太陽や、雨風にうたれて、昼間は、とても、ぐったりして見えるのに、一夜が明けると、元気にもどって、また、次の一日をたえるのです。
「どうも、おかしいぞ」
王女の父親である王様は、家来に命じて、一晩中、いすの上の王子を見張らせました。
すると、日が落ちて、夜がふけると、王子そっくりのかっこうをした家来が、こっそり、やってきて、王子と交替したではありませんか!
王子のそっくりさんがいすにすわっている間、本物の王子は、家来たちが森かげにしつらえたテントの中で、ごちそうを食べ、ゆっくり、休んでいたのです。
「なんたるひきょう者じゃ! さっさと、追い出せ!」
王子は、家来ともども、追いはらわれてしまいました。
それ以来、いすにすわった者は、王様の家来に、昼も夜も、きびしく、見張られるようになりました。