こうして、白鳥の羽の王子は、いすにすわり始めました。
きらきらした大きな目は、いつも、王女のまどに向けられていました。
どんなにつかれていても、その窓に王女がすがたが映ると、王子の心はおどり、また、勇気がわいてきました。
じっさい、王子は、70日間もがんばったのです。新記録でした。
でも、残念のことに、ある、とても暑い日、いすからころげ落ちて、そのまま、息絶えてしまいました。
「ふむ。期待させおって。ふがいない男じゃ」
王様は、なげき悲しんでいる王子の家来たちに、
「さっさと、なきがらを運び出せ」
と、命じ、お城の者たちには、このことを王女の耳には、決して、入れないように、言いつけたのです。