プッププー!
「本日、98日目!」
お城の中では、召し使いたちが、結婚式の準備で、てんてこまい。
台所では、一流のコックたちの手で、だれも見た覚えのないほどのごちそうが用意されています。
プッププー!
「本日、99日目―!!!」
王女様の部屋には、金銀や宝石を、おしみなく、あしらった、ごうかな花嫁衣裳が用意されました。
その美しさときたら、ただ、想像していただくしかありません。
日が落ちると、お城のまわりには、かがり火がたかれ、遠くから、ぞくぞく、やってくるお祝いのお客を、あかあかと、照らします。
一晩中、だれも、眠りません。みんな、朝を待って、わくわくしています。
とても、眠れるものじゃありません。
しらじらと、東の空が明るくなって来ました。
朝はもうじきです。
ラッパ吹きは、最後のラッパを、この先、世界の終わりまで語りつがれるほど、りっぱに吹こうと、めいっぱい、きんちょうして、東の地平に、太陽の出るしゅん間を待っていました。
その待ちに待った100日目の太陽が、地平に、ちらりと、顔を出した時です。
「あ! どうして⁉」
ラッパ吹きがさけびました。