いったいだれの歯?(2/7)

文・夏美  

次の日、フミヤは歯を持って、おじいちゃんの家へ行きました。
きょうはブチはひるねをしていません。
縁の下をのぞきこみました。
ブチが地面にすわって大あくびをしていました。

フミヤは歯をとりだしました。
しかしそこで考えました。
(ネズミの歯はしょぼい。ネズミよりもっとすごい歯がいいな)
そして、フミヤはおまじないをかってに変えてさけびながら歯をなげたのです。
「キョウリュウの歯とかえてくれ」

歯はコロコロところがってすぐに見えなくなりました。
ブチが目を見開いて歯の転がる方を見ていました。

フミヤの歯はすぐに生えてきました。
すごいスピードであっというまにのびました。
ものすごくりっぱで、とんがっていてピカピカでした。
かたいおかずもらくしょうでかじれます。

「おまじないがきいたみたいね、フミヤ」
お母さんもよろこんでくれました。
「うん」
フミヤは心の中で思いました。
(だってこれはキョウリュウの歯だもの!)

夏美 について

大阪出身。童話やミステリーが好きで、少年探偵団や少女探偵ナンシーで育ちました。自分もそんな感じの、子供がワクワクできるようなミステリーやサスペンスを書けたらいいなあと思っています。ようやく落ち着いてパソコンに向えるようになった主婦です。尊敬する人はグラン・マ・モーゼスです。