おしょうさんとかっぱ(4/5) 文・雪乃 椿 「おう、だれかおるぞ」 井戸の水はとてもきれいだから、自分の顔がうつっているのです。 「おーい!」 自分とはと知らずに、よびかけます。 するとどうでしょう、井戸の中でかっぱの声は、“うぉーん!”とおそろしくひびきました。 「おしょう、聞いたか? なんて、おそろしい声だ」 「あぁ、聞いたとも。あのものが、井戸の中でおこっておるぞ」 よほどその声がこわかったのか、かっぱはふるえだしました。 2 / 3«123»