「あいつおいらににているが、だれなんだ？」
井戸の中の顔は水がゆれると、おそろしく見えるのです。
「お前さんを、しかるものじゃ！」
「まさか、おっとさんか？　おっとさんはいかん、おいらこわくてたまらん」

「こわいよ、こわいよ。おっとさん、かんにんしておくれ！」
「どうじゃ、おっとさんがこわい顔をしてなさるじゃろ？」
こわごわもう一ど、のぞきこむかっぱ。
「オニのように、こわい顔じゃ！」
かっぱの体は、ふるえが止まりません。