だれもがそのことに気づかずに、おにぎりはコロンコロンと、どんどんと、草花があるところへと転げて、さらに先の川辺のそばでやっと止まりました。
(ん? 変だぞ!)
神様におそなえされるはずだったのに、今、なぜか土の上にいます。
おにぎり君は、そっと目を開けました。
あれれ?
ここは、おそなえをする、おさらの上ではありません。
おにぎり君はこまってしまいました。
神様に食べられるのがおにぎり君の役目なのです。
でも、自分で動いてもどるわけにはいきません。
もう少し待ってみよう。そう思って おにぎり君は目をとじました。
きっとだれかが見つけてくれる。
でも、次の日になってもだれも気づいてくれませんでした。
さてはて、おにぎり君は、かんがえました。
神様に食べてもらえなかったら、この先、どうやって生きていけばいいのだろう?
その先の生き方なんて、おにぎり君は知りませんでした。
だれに聞けばいいのかもわりません。
それに、神様に食べていただくおそなえ物です。
おいそれと、人に食べてもらえるものではありません。
なやんだすえ、おにぎり君は、はたと、思いつきました。