とっても強い風が、ビュ~ッとふきましたが、山のおかげで、ほこらはビクともしません。
おにぎり君は、大きなその体でまわりをながめました。
ドングリが、やわらかい土に根を下ろし、すくすくのびていっています。
花のタネは、きれいな色をした葉をのばしています。
カキのタネは、大きなタネの皮をはがすと、いっせいにいくつもの葉をつけていきました。
おにぎり君はあの時、とっても強い風がふいてくれたことに感謝しました。
あそこで転がり落ちなかったら、こんなお山になることもできなかったでしょう。
おにぎり君は何度も何度もまわりを見ては、 この山で、神様のほこらを、みんなをまもっていこうときめました。
神様はりっぱになったお山をながめ、うんうんと、うなずきました。
やがて、ここには花がさき、ドングリがなり、カキの実がとれるであろう。
人々がまずしい時は、カキの実を食べ、心がつらくなった時は、 花を見て元気になり、子供たちはドングリで遊ぶことであろう。
さてさて、神様はまんぷくになったおなかをかかえてニコリと笑うと、小さなほこらの中へと入りました。
やがて、ほこらが光につつまれ、その光が天へと上がって行きました。
それとどうじに、声が空へとひびきわたります。
「やっほほ~い!やっほほ~い!」
「ゴロロンロ~ン、ゴロロンロ~ン」
それは、それは、楽しそうな神様の歌声でした。