おにぎりと神様(8/8)

文・きゅりあ   絵・柊 京佳

とっても強い風が、ビュ~ッとふきましたが、山のおかげで、ほこらはビクともしません。
おにぎり君は、大きなその体でまわりをながめました。
ドングリが、やわらかい土に根を下ろし、すくすくのびていっています。
花のタネは、きれいな色をした葉をのばしています。
カキのタネは、大きなタネの皮をはがすと、いっせいにいくつもの葉をつけていきました。

おにぎり君はあの時、とっても強い風がふいてくれたことに感謝しました。
あそこで転がり落ちなかったら、こんなお山になることもできなかったでしょう。
おにぎり君は何度も何度もまわりを見ては、 この山で、神様のほこらを、みんなをまもっていこうときめました。

神様はりっぱになったお山をながめ、うんうんと、うなずきました。
やがて、ここには花がさき、ドングリがなり、カキの実がとれるであろう。
人々がまずしい時は、カキの実を食べ、心がつらくなった時は、 花を見て元気になり、子供たちはドングリで遊ぶことであろう。
さてさて、神様はまんぷくになったおなかをかかえてニコリと笑うと、小さなほこらの中へと入りました。

やがて、ほこらが光につつまれ、その光が天へと上がって行きました。
それとどうじに、声が空へとひびきわたります。
「やっほほ~い!やっほほ~い!」
「ゴロロンロ~ン、ゴロロンロ~ン」
それは、それは、楽しそうな神様の歌声でした。

きゅりあ について

福岡県生まれ。仕事の合間に詩や物語を書いています。 童話は優しくてほっこりするようなものを目指していますが、 まだまだ、文章は勉強中です。 いつか、イラストも勉強して、自分の描いた絵で童話を作りたいです。 blog では、詩と物語を載せています。 良かったら遊びに来てください。 blog:パンラ国物語と詩集の欠片たち

柊京佳 について

(ひいらぎ きょうか) もの心ついた時からお絵描き大好き!たくさんの絵本に囲まれて子育てする中で、実際の生活の中にもある素晴らしい物語をいっぱい発見!2015年からブログやトークライブでそれをお伝えしています。 ブログ:はぴゆるの森屋 虫や山や木との不思議なやりとり書いてます。