おにぎりものがたり(2/3)

文と絵・伊藤 耀

絵本「おにぎりものがたり」第2話第4場面「いずれにせよだな、ふんわり、にぎるのが コツなんだよ」
と、ひょっこり、うさとうさんが かおを だしました。
「うちの おばあちゃんは、ちからづよく、カンカラカンに にぎるから、すごく かたいだろう。それに、すごくでっかいし」
「うん、うん」と、うさも、うさかあさんも うなずきました。
とうさんは いいました。

「ぼくが こどものころ、ともだちんちの おにぎりを たべたとき、ふんわり、ちいさくて、『わあ、なんて じょうひんなんだろう!』って、かんしんしたもんさ」
「そういえば」
と、うさかあさんもいいました。
「わたしの ははの おにぎりも、すごく でっかかったわ」
「それって、うみべまちの おばあちゃんの こと?」
と、うさは、はなれたまちに すんでいる おばあちゃんの ことを おもいだしました。
「そうよ」
と、うさかあさんは うなずきます。

「しょうがっこうの えんそくの ときだったわ。やまに のぼって、はなを つんだり、くさすべりしたり、とても たのしく あそんだの。いよいよ おべんとうの じかんに なって、リュックの そこから おにぎりを とりだしたら、ペッタンコに つぶれて、なべしきみたいに なっていたの。それをみて、おともだちが おおわらいしたっけ」

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに