「あら。お父さん。元気ないわねえ」
娘のマリィが笑って声をかけてきました。
「悩んでるって顔してるわよ?お父さん。ちょっとだけお話ししていいかしら?」
「はい・・・それはまあ・・・構いませんが。どうしたのですかな? マリィ」
「うふふ。実はね・・・」
メイドをしている娘のマリィは耳よりな情報をくれました。それは・・・。
「お父さん、この町に若いんだけどすっごく上手な料理人さんが引っ越してきたの、知ってる?」えっ。
メェさんは目を開きました。
「し、知らないですぞ。そんなにすぐれた料理人さんなのですかな?」
メェさんは言いながら、どうせうわさだし・・・と思っていました。本当のことは、本人に会ってみなくては分かりません。
「ええ! その人の名前は、タベルノダイスキさんっていうの。人の悩みとかを聞いてくれながら、料理を作ってくれる・・・癒してくれるお店なんですって。あたしも一度行ったんだけど・・・その人、すっごくやさしくてね。悩んでた気持ちがふうって楽になったの。お父さんも一度、行ったらどうかしら? やせたわよ」
えっ。メェさんはびっくりです。そう言われてみたら、仕事に夢中になっていて食事もまともにとっていません。
「そうですか・・・行ってみますぞ。ありがとう、マリィ」
礼を言うと、早速メェさんはそのお店にそっと予約の電話を入れたのでした。
(つづく)