第6話 閉ざされたとびら
シュガー姫の具合が悪くなったのは、その日の夕方でした。熱も出て、お腹も痛むようです。メェさんは心配でたまりません。お医者さんは首をふりふり、こう言いました。
「何かシュガー姫には悩みがあるのではないかと思いますが。うわ言を言われておりました。とりあえず注射をしました。安静になさってください」
シュガー姫の悩み・・・。なんだろう、とメェさんはとまどいました。それから何日も、メェさんはシュガー姫のそばにずっといました。いつメェさんは眠るのだろう、と周りがささやいています。
「・・・・・・あの、羊の執事のしつじーさん・・・あ、いえ、メェさん」
夜更け、氷枕の氷を変えにそっと部屋から出たメェさんに、心配そうにやさしくそっと声をかけてくれた人がいました。タベルノダイスキさんです。
「・・・大丈夫ですか? 少し召し上がりませんか?」
え・・・でも、と戸惑ったメェさんに、タベルノダイスキさんは言いました。
「メェさんが倒れてしまいますよ。ボクも力は及びませんがおりますし、他にもたくさんの皆さんが心配していますよ?」
「・・・シュガー姫の病気、心配ですからな」
うなずいたメェさんに、
「いいえメェさんのことですっ! 皆さんメェさんを心配されてます。すごくがんばられてます、本当にボクもそう思っています・・・でも・・・反面、心配なんです。メェさんは・・・一人で抱えこむ方だから・・・」
タベルノダイスキさんは言いました。
「え、わたしがですか?」
メェさんはびっくりしました。そんなこと、考えたこともありませんでした。だってメェさんは、やらないといけないことをやっているだけなんですから。
「だって・・・言えませんぞ。きっと皆さん困ります」
やさしくて涙もろいハレルヤさんに、シュガー姫に甘いだけの国王さま。みんなみんな、シュガー姫を大好きなんですから。
(次のページに続く)