「ああ、家も村も、とっくの昔に無くなってしまった。知っている人はだれもいない。ひとりぼっちで、この先、おれはどうしたらいいだろう。
そうだ、竜宮城から帰る時、おとひめ様が、『困った時にはこの箱をお開けなさい』と言ったっけ。今がその時だ。よし、開けてみよう」
(ええ! ぜんぜん、話がちがうやない)
びっくりしている大介の前で、太郎は砂の上にこしを下ろすと、キラキラと美しい箱を開けました。
中から、ぱっと、白けむり! たちまち太郎はおじいさん・・・?
「やない! 消えちゃった!」
けむりの中からは、太郎の代わりに、一羽の鳥が現れ、「カルー!」と、一声、鳴いて、ひゅっと、雲の彼方に飛び去りました。
「あわわ。何や、この展開!」
大介は立ち上がり、箱に走りよって、中をのぞきました。
「何やろう、これ?」
箱の中に、さらに、デジタル時計のような金属の箱があって、数字が、ピカピカ、光っていました。
「これ、ひょっとして!」