がめ島うらしま館(12/14)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

「かめ代の正体は竜宮のカメなんだ。もう、何千年も生きていて、すごい年寄りだから、ときどき、すごく眠くなるみたい。今も、ぼくのそばで、ぐうぐう、いびきをかいている」
新一はそのすきにタブレットを開いたのでした。

「おねえちゃん、ぼく、かめ代の最後の問題、知っているよ。浦島太郎がいなくなった後、太郎をおいかけて竜宮をにげ出したおとひめを見つけること」
「そんな!」
美里は秋の部屋で、太郎と別れた後におとひめがどうなったかを、物知りの天女から教えてもらっていました。

「おとひめはお父さんの竜王の目をぬすんで、太郎を追いかけて陸に来たんだよね。でも、それは1500年前も前の話だよ。それをどうやって探せっていうの!」
「それがさ、みーちゃん」
今度は大介が話そうとした時、グォン、ドロドロという、あの車輪が回るような大きな音がして、タブレットが、ブツッと、切れました。
ふたたび、プィンと現れたのは鶴島かめ代でした。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井市在住。 ブログ「絵とおはなしのくに」を運営するほか、絵本・童話の創作Online「新作の嵐」に作品多数掲載。HP:絵とおはなしのくに

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに