「おやまあ、私がうたたねしている間に、ひみつの相談かい? だが、残念だったね。時間切れだよ。見てごらん。竜宮時計が動き始めてしまった」
確かに、タブレットの中で、さっきまで止まっていた竜宮時計が、カチカチと、時を刻み始めていました。
その横では、陸(おか)時計の針がものすごい速さで、クルクル、回っています。
「これからお前たちは私といっしょに、深い深い海の底、竜宮へ下りていくんだ。そこで、ゆっくり、年を取るんだよ。陸の連中は、その間に、クルクル、コマが回るように、早く年を取って死んでしまうから、もう、会うことはあるまいよ。ひっひっひ」
「おい、かめ代!」
大介がどなりました。
「おまえ、最後の問題、捨てるんか? 太郎とおとひめ、見つけたくないんか? おれたちに、あと1時間、くれたら、見つけてやるぞ」
「なんだって!」
かめ代の目がきらりと光りました。
「私が1500年も探したあの2人を、おまえは本当に連れてこれるのかい?」
ドスンと、ものすごい地ひびきがして、もう一度、野太い声が言いました。
「本当かい? うそだったら承知しないよ!」
ふり返ると、「四季の部屋」ホールいっぱいに、恐竜のような巨大ウミガメが、目をギラギラさせて、二人を見下ろしていました。