13 美波ガラス工芸館
「おれ、冬の部屋で、太郎の玉手箱をのぞいて、分かったんや。あれって、じいさんを作るマシンやない、タイムマシンや!」
「タイムマシン?」
「うん。太郎は未来にタイムスリップしたんや。タイマーは、2010‐07‐07に合わせてあった。ってことは・・・」
「2010年7月7日ってこと? それだと、10年前だよね」
「2人は10年前にここに来てた。おれ、タブレットの太郎とおとひめを、10年、老けさせてみた。そしたら、おれの知っている人たちにそっくりになったんや!」
「それはだれ?」
走りながら、夢中で話していた2人は、どすんと、人とぶつかりました。
とたんに、こつんと、げんこが大介の頭にふってきました。
「いて!」
「ばか、どこに行っていたんや、バケツ、置きっぱなしで。しんちゃんはどこや?」
それは帰りのおそい3人を心配して、探しにきた浩一でした。
「うわーん、にいちゃん、助けてくれ!」
大介は浩一に、ひしっと、しがみついて、泣き出しました。
びっくりして、浩一は美里に目を移しました。
「何があった、美里ちゃん。ちゃんと話してみい」