美里は、がくがく、ふるえながら、がめ島であったことを話しました。
大介もだんだんと落ち着いて、浩一にタブレットの太郎とおとひめを見せました。
浩一はひどくおどろいたようでしたが、間もなく、
「分かった。2人とも、ついて来い」
と、すたすた、歩き出しました。
村はずれの山際、上の車道に通じる石段まで来ると、浩一は美里たちに上るように言ってから、電話をかけ始めました。
「トヅカ。悪いが、おまえの車、がめ島んところまで回してくれんか」
3人が車道に上がって間もなく、派手な赤色の軽自動車が、ブルブル、やって来て、まどから日焼けした青年が、にょっと、顔を出しました。
「どうした? ミヤモト」
「おう。道々、話すで、とにかく飛ばしてや」
浩一が助手席にすわり、美里たちから聞いたことをトヅカに話すと、トヅカはだまって、ぐんぐん、スピードを上げました。
その間に、浩一は、また、電話をかけています。
「おやじ、おれやけど・・・」
10分ほど走って、車はわき道に入り、斜面をさらに上へと登ると、すぐに、林に囲まれたロッジ風の建物と、「美波ガラス工芸館」のかん板が見えてきました。