2 海水浴
宮本家で水着に着がえた美里と新一は、大介を先頭に、海水浴場へ向かいました。
3人の後ろを大介の兄、浩一が歩いてきます。
大介は、たびたび、浩一をふり返って、「うざい」とか「ついて来るな」とかと悪態をつきますが、浩一はおこるでもなく、にやにやしながら、少しはなれてついてきました。
(こうちゃん、前より、ずっと、背が高くなってる)
正月、美里たちが両親に連れられて宮本家を訪ねた時には、浩一はまだ丸がりの学生服すがたで、飲み食いしながらよくしゃべる大人たちの間に、だまってすわっていました。
「いばってやがんの、あいつ。春に、高校、卒業して、父ちゃんの船に乗り始めたもんやから」
浩一に「ばーか」と、何度もしかめ面を作る大介に、
「やめなよ、大ちゃん」
と、とうとう、美里はつぶやきました。
かみがのび、よれたTシャツにジーパン、サンダルばきの浩一が美里にはとても大人びて見えたのです。