「わあい、カブトムシ!」
と、新一も後に続きます。
「あ、だめだよ、二人とも! こうちゃんが・・・」
とはいえ、海の底を歩いてわたるなんて、めったにないできない経験です。
結局、美里も、わくわくしながら、二人の後を追いました。
むき出しになった海底には貝やヒトデが散らばり、あちこちで、魚が、パタパタ、もがいています。
ぬれて黒光りする岩には海そうやイソギンチャクが、ぺったり、くっつき、フジツボがあぶくをふいています。
3人が通ると、砂地はくぼんで、小さな池になりました。
海水が小川のように流れている所は、とりわけ、注意して飛びました。その下に思わぬ深みがあるかもしれないからです。
島に着くと、3人は、きゃあきゃあ、言いながら、鳥居に続く石段をかけ上って行きました。
ふり返ると、深緑の山が海岸までせまり、潮風でけずられたがけの下に家いえが集まっていましたが、浩一が待っているはずの海水浴場は、そこからは岬(みさき)がじゃまして見えませんでした。
「着いたぞ、一番乗り!」
とちゅうから三段上がりでかけ上がった大介が、真っ先に、鳥居の中に飛びこみました。
「あ、ずるい!」
美里も新一もすぐに続きましたが、そこで、今度は大介が、ぽかんと、口を開けていました。
「何だ、これ? 」
そこにあったのは、岸から見えたお宮とは似ても似つかない、きらきらしたガラス張りの建物でした。