3人は自動ドアの前に並んで立ちました。
グォーンと、ドアが開き、すうっと、すずしい風。
「クーラー、きいてるね」
美しいタイルばりのホールでは、まず、正面のかべにかざってあるウミガメのはくせいが目に入ります。
「でっかい! かいじゅうみたいやな」
「上を見て!」
そこには、高い天井から真っ白なクジラの骨がぶら下がっていました。
「あ、水だよ!」
大介と新一はかべ際の水飲み機にダッシュしました。
「ここ、やっぱり、水族館だ」
美里は、四方のかべやたなにずらりと並ぶ海洋生物の写真やはく製に見入りました。
「受付」と書かれたテーブルがあります。
「だれもいないね」
学習ノートぐらいのタブレットがぽつんと置いてあり、「電源をお入れください」とのカードがそえてありました。
大介が電源の赤いボタンをおすと、プィンと音がして、歌といっしょに、「うらしま太郎」のアニメーションが始まりました。
むかし むかし うらしまは~・・・
「わ、だっせいの。いまどき、うらしま太郎のアニメかよ」
大介が言ったとたんに、画面が変わって、水色の着物を着た女の人が現れました。
黒かみをおだんごにゆい、顔を真っ白けにぬって、まっ赤な口べにをつけています。
「すげー厚化しょう」
大介が小声で言うと、新一はたまらず、くすくす、わらいました。
「いらっしゃいませ。がめ島うらしま館へようこそ。ここは浦島太郎にまつわるあれこれをみさなまに紹介する展示館です。私はガイドの鶴島かめ代と申します」
「鶴島かめ代だって」
「そういや、この人の顔、かめに似ているよな」
大介と新一はふき出しました。
「し、聞こえてる」
美里は画面の中のガイドが、ぎろっと、こっちをにらんだので、ぎょっとしましたが、大介は、
「見ろよ、このマップ。すごいや」
と、ガイドが消えて現れたカラフルなマップに夢中になりました。