画面にスタートボタンが現れました。
美里はまゆをひそめました。
「いやな感じ。ほんとに1時間を過ぎると時間が100倍になったりして・・・」
「みーちゃん、本気にしたんか? そんなわけないやろ」
大介は笑って、「よし、やるぞ」と、ボタンに手をのばしました。
「ちょっと待って。ぼく、おしっこ。まだ、始めないでね」
新一はあたりを見回し、少し先まで走って行って、ろう下の角を曲がりました。
「あ、しんちゃん、一人で行っちゃだめ」
美里は追いかけようとしましたが、
「だいじょうぶ。すぐにもどって来るって。先に始めよう!」
と、大介はスタートボタンをおしました。
グォン! ドロドロドロ・・・
巨大な車輪が回るような音。
建物がぐらっとゆれました。
美里と大介は、ぎょっと、顔を見合わせました。
「地しん!」
でも、音はすぐに止みました。
「びっくりしたなあ。何だったのかな、今の。ま、いいや。第1問。えい!」
1番のパネルがひっくり返り、問題が現れました。
「『第1問 浦島太郎が浜辺で助けた動物は何だったでしょう?』 あは、ちょろいな。答えはカメ!」
ピンポーン! と正解音。
1枚目のパネルが消え、青空と、だれか、人の頭の部分になりました。
「この人がだれかを当てるクイズなんか?」
「しんちゃん、早く、もどって来ないかな」
「次! 『第2問 浦島太郎の職業は何だったでしょう?』 簡単やな、父ちゃんやにいちゃんと同じ、漁師!」
ピンポーン!
「あたし、新一、見てくるね」
美里はゲームに夢中の大介を残して、ろう下の先、新一の消えた角を曲がりました。