「こらこら、ずるは行けませんねえ。早く、ゲームにもどってください」
「なにがずるだ、鶴島かめ代! しんちゃんを返せ! おれたちをここから出せ! でないと、警察をよぶぞ!」
「ふん、警察だって。そんなもの。ここに働くのは悠久の海時間。アリンコのように、ちょこまか、せわしく生きている人間の手のおよぶ世界ではないわ。そんなことより、ゲームを終わらせることを考えな。期限の1時間が過ぎれば、時間のかべができて、外の世界はここの1000倍のスピードで動き出すんだからね」
「1000倍? 100倍じゃなかったの?」
「それは1500年前の話だよ。今はジェット機が飛び、新幹線が走る時代だよ。時間ははるかに速いスピードで過ぎて当然さ。さあさ、ゲームにもどった、もどった! プツン!
プィン。そうだ、言い忘れるところだったが、探したって、ここまで下りてくるエレベーターなんかないよ。階段もね。では。プツン!」
「ばかばか、鶴島かめ代のばか!」
大介はタブレットをたたきますが、画面は暗くなりました。