がめ島うらしま館(9/14)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

美里は考えました。
「大ちゃん、あの人が言った通りなら、パネルの問題を全部とけば、3人とも、ここから出られるんだと思う。やってみようよ」
「そうか。よし、早く、やっつけちまおう!」
美里は、もう一度、タブレットの電源を入れました。

プィンと、残っている6枚のパネルが並びました。
「大ちゃんがまちがえたのは3問目よね」
美里が「3」のパネルにふれると、問題が現れました。
「『第3問 陸に帰った浦島太郎が玉手箱を開けてしまったのはどうしてでしょう?』 え、大ちゃん、これ、まちがえたの?」
「うん。何でだめだったんやろな?」

「何て答えたの?」
「でっかいカニがいっぱいいたから、こわくて、何か、武器がないかと思ったから。だって、歌にあるだろう、『帰ってみれば こわいカニ』って」
「ちがうよ。『こわいかに』は『これはどうしたことだろう?』っていう意味なんだって。音楽で習ったよ」
「おれ、そんなこと、習わんかったもん」

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井市在住。 ブログ「絵とおはなしのくに」を運営するほか、絵本・童話の創作Online「新作の嵐」に作品多数掲載。HP:絵とおはなしのくに

伊藤 耀 について

(いとう ひかる)福井県福井市生まれ。福井市在住。10代からうさぎのうさとその仲間たちを中心に絵画・イラストを描き始める。2019年からアールブリュット展福井に複数回入賞。2023年には福井県医療生協組合員ルームだんだん、アオッサ展望ホールその他で個展開催するほか、県内アールブリュット作家展に出品するなど、活動の幅を広げている。現代作家岩本宇司・朋子両氏(創作工房伽藍)に師事。HP:絵とおはなしのくに