さくらのはっぱ リーフスキー(3/4)

文・山庭さくら   絵・橋本悦代

そのようすを、そらにうかぶくもが、見ていました。
「ぼくにできることはないかなあ。そうだ! きたかぜくんにたのんでみよう!」
それからなん日かたった、ある日のこと。
ピュールリ、ピュルルル~ ピュールリ、ピュルルル~
おひるすぎから、きたかぜがふきました。
きたかぜは、リーフスキーに、はなしかけました。
「ねえ、きみ。ぼくとおどらないかい?」
「えっ、ぼくなんてきたなくて、あなまであいているから、じょうずにおどれないよ」
「ほんとにそうかな?」
きたかぜが、リーフスキーをもちあげてくれると、リーフスキーのからだは、しぜんにくるくるまわりはじめました。
「うわあ、なんてきもちいいんだろう。きたかぜさん、ダンスってたのしいね」
「きっときみは、あなあきはっぱだから、じょうずにおどれるんだよ」
「えっ、そうなの?」
「ほら、きみのあなをぼくがとおるよ」
きたかぜが、リーフスキーのあなをとおると、リーフスキーは、もっとはやくクルクルまわりました。
「ぼく、このダンス、あのうさぎの女の子に見せてあげたいなあ」
「よし、じゃあ、女の子のところへいこう!」
リーフスキー3
そのころ、うさぎの女の子はいつものように、ベッドから外をながめていました。
すると、まどのむこうで、1まいのはっぱがまわっているではありませんか。
クールリ、クルクル クールリ、クルクル
「ママ、見て! はっぱさんが、ダンスしているわ!」
女の子はおもわず、ベッドからおきて、まどぎわまであるいていきました。
ねたきりだった女の子が、あるけたのです!
きたかぜが、きれいなはっぱたちもつれてきて、まどの外は、まるではっぱたちのぶとうかいのよう。
リーフスキーは、女の子のために、いっしょうけんめいおどりました。
「すごいわ! あなあきはっぱさんが、いちばんじょうずよ!」
女の子も、リーフスキーのまねをして、クルルルとまわります。
ピンクのパジャマがふわりとまって、リーフスキーとおんなの子がいっしょにダンスをしているようでした。
「きみ、おどるのが一ばんじょうずだね。これまでばかにしてごめんね」
いっしょにかぜとダンスをしている、きれいなおちばたちがいいました。
「さあ、そろそろもどろうか」
きたかぜはそういうと、おちばたちを、もとのさくらの木の下につれもどしました。
「よかった。うさぎのおんなの子の足がなおって」
リーフスキーは、女の子があしたから、ようちえんにいけるといいなあとおもいながら、そのよるは、つかれてぐっすりねむりました。

宇都宮みどり (山庭さくら) について

宇都宮みどり(山庭さくら) 愛媛県出身。大好きな童話作家は浜田広助。 図書館での読み聞かせ、児童養護施設でのボランティア、大学病院の小児科でのボランティアでの読み聞かせを行ってきて、童話や絵本の大切さを実感。 2006年に出版した『ウータンタンのおはなし』は、大分県の夏休み課題図書に選ばれる。 その後、依頼で『不思議なコウモリ』や『シッポでさよなら』などを創作。これまで作った作品は20以上。読み終えた後に、心がほっこりする童話を書きつづけている。 HP:幸せつなぎスト

はしもと えつよ について

北九州出身。 第14回 小学館おひさま絵本コンクール『おにたくん やまのぼりだよ』(作・絵)で 最優秀賞受賞。 小学館の読み聞かせ絵本『おひさま』で『おにたくん クリスマスかいだよ』(作・絵)を担当。『おひさま』付録のおでかけ絵本なども担当する。 表紙イラスト、ポスター、挿絵ほか、福岡子育て支援 絵本・DVDやJA福岡 JA佐賀の食育読み聞かせ絵本冊子も担当する。 etsuyo hashimotoの たねのいろ