『アボカド・ベイビー』
ジョン・バーニンガム 作・絵
青山 南 訳
ぽるぷ出版
この作品は、私が学生の頃、原書である英語版の絵本を大学図書館で見つけたのがはじめての出会いです。その後、日本語の翻訳版も出て、もう第18刷まで発行されている人気絵本です。
個性的な絵画と色彩の美しさにも惹かれますが、生まれたばかりの“あかんぼう”を主人公にして、子どもたちの日常で、「してもいいことと悪いこと」を教えてくれる絵本だと思います。
自分自身も、物語を通して、実家住まいの頃は、母のお手伝いをしたかな? 後輩や友だちを困らせなかったかな?などと思いなおすキッカケになりました。
この物語の主人公は、まだ名前も決まっていない生まれたばかりの“あかんぼう”。両親も、お姉さん、お兄さんも一家そろって、体の弱い家族の末っ子として生まれてきました。しかも食べ物に興味を示さず、お母さんを困らせていましたが、唯一アボカドだけ食べるのです。
この絵本では詳しくは書かれていませんが、アボカドはギネスブックに載るほど、世界一栄養価の多い植物。実際に、あかんぼうの成長に必要な栄養も多く含まれているので、物語のなかの“あかんぼう”も本能的に自分に必要なものを知っていたのかもしれませんね。
アボカドを食べるようになったあかんぼうは、家族の心配をよそに、とても丈夫で強いあかちゃんになります。教えられなくても、お手伝いは進んでやり、いろんなハプニングも力づくで解決してしまうのです! 世の中で起こる強盗、いじめ、車のエンスト・・・。あかんぼうがどのように解決していくかも見ものです!
しかし、おうちに帰ると、やっぱりまだまだあかちゃん。自分一人でアボカド1つ食べられないし、1日の大半はスヤスヤと眠っています。生まれたての純粋な気持ちは大人になると薄れていくものです。「初心に戻る」という意味でも、お子さんだけでなく、大人もあかちゃんの頃の純粋な気持ちを思い出させてくれる1冊となるでしょう。
●購入サイトはこちらから →『アボカド・ベイビー』