中空を飾る半月が見守る中を、お曳舟が帰ってくる。
沖で、お精霊舟の綱を解き、戻る時は、一艘だ。
策作じいさんが戻ってきたら、焼きそばを作って、ふるまおう。
しのさんを見送って、賢作さんも見送って、あたしには見えなかったご先祖さまたちも、たぶん、見送って、さみしい気持ちでいるにちがいないから。
アホなこと、いっぱい言って、
「アホか、キツツキは」
ってがんがん言わそう。
そして、ふたりで、笑いまくろう。
お曳舟が浜に着き、人々が降りてくる。
待っていた人たちが、出迎える。
あたしも、策作じいさんの姿を捜す。
「おかえりなさい」を言うために。
ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(14/15)
文・朝日千稀 絵・木ナコネコ