「ウソぴょん!」
「ウ、ウソぴょんって?」
「客間で寝ているのを見た時は、ぼくの知らない親戚かもしれないと思ったんだ。でも、その後、話を聞くと、亡くなったおじいさんとその日出会ったばかりだと言うし、一緒にヒスイも探したと言うし、変な人だと思ったんだ」
「・・・・・・」
「でも、この町では、お盆の間、お仏間の出入りは自由だし、お参りに来てくれたおじいさんの知り合いを、おじいさんと勘違いしているだけの変な人かな? と思ったりもした」
「・・・どう転んでもあたし、変な人、だったんですね」
「そうだけど、なんだかおもしろそうな人だから、いてもらってもいいかなと思った」
「・・・そ、そうなんだ」
「あっ、それは、さておき、昨日、安達ケ原さんの歌を聞いてわかったんだ」
「さておかなくて、いいです! いえ、歌? あたしが?」
「門の所で座って」
迷子になって、へたり込んだあたし、無意識に歌っていたらしい・・・。
あのダサい歌を聞かれたと思うと、恥ずかしい。
が、だけど、あたしが策作じいさんとちゃんとした(?)知り合いだって、わかってもらえたらしいから、よしとしよう。
「橋を渡って 草むらの♪ 奥の細道 下って行けば♪ 」
と絢斗さんが歌い出すから、
「風にゆらゆら 柳の木♪ 三つ目岩の 先の先♪」
ついつい、あたしも、続きを歌う。
「三角石の その下に♪ 大きなカワセミ 棲んでいる♪」
そして、ふたりの声が揃った。
「ぼくも、」
と、絢斗さんが教えてくれた。
絢斗さんも、策作じいさんと川ヒスイを探したことがあるんだって。
大きい川ヒスイは、持って帰れないから、場所を覚えておくために歌にしたことも。
「その都度、歌詞は変わるんだけど、メロディーはずっとあのままだから」
「あの、ダ、」
「覚えてないけど、おじいさんが言うには、ぼくが子どものころに作ったらしい。んっ、ごめん、なに?」
「いえ、なんでも」
ダサいと口に上らせなくて、ほんっと、よかった!
「ダサいだろ?」
「はいっ! ・・・わわわ・・・」