最後の星が流れ、やがて、朝が来た。
社務所の片付けに行くと言う絢斗さんと別れ、あたしは東雲東雲さんを捜す。
といっても、どこにいらっしゃるのかわからない。
けど、
「あいつに見せつけたるんやさかい」
と言っていた策作じいさんの口ぶりから推察するに、近くにいらっしゃるような気がしなくもない。
闇雲に歩きまわるのもなんなので、いや、白状すると、好奇心がおさえられなくて、この町内で一番興味をひかれる人に聞き込みをすることにした。
足を向けると、その人は、朝顔に水をやっている。
「おはようございます」
「未成年にたばこは売らん」
「いえ、シノノメさんってお宅、ご存じですか?」
「そこの自転車屋」
その人は、たばこ屋のおばあさんは、とても愛想のない人だった。
話すたびに眉間によるシワが、怖い顔に拍車をかけている。
口が裂けても、あなたは結界師ですかとは、聞けない雰囲気をかもしだしている。
だれも近づいてはいけない、そんな雰囲気をかもしだしている。
結界師というよりは、町内の魔除け的存在だな、これは・・・。
なんてこと思いつつ、また、それにしても、自転車屋さんとはいやにご縁があるもんだ、東雲東雲さんって人は、あの炎天下で熱中症になりかけて、塩アメで生き返ったとおっしゃっていたユーレイの身内の方かな? なんてことも思いつつ、自転車屋さんに向かった。