ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(15/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

最後の星が流れ、やがて、朝が来た。
社務所の片付けに行くと言う絢斗さんと別れ、あたしは東雲東雲さんを捜す。
といっても、どこにいらっしゃるのかわからない。
けど、
「あいつに見せつけたるんやさかい」
と言っていた策作じいさんの口ぶりから推察するに、近くにいらっしゃるような気がしなくもない。

闇雲に歩きまわるのもなんなので、いや、白状すると、好奇心がおさえられなくて、この町内で一番興味をひかれる人に聞き込みをすることにした。
足を向けると、その人は、朝顔に水をやっている。

「おはようございます」
「未成年にたばこは売らん」
「いえ、シノノメさんってお宅、ご存じですか?」
「そこの自転車屋」

その人は、たばこ屋のおばあさんは、とても愛想のない人だった。
話すたびに眉間によるシワが、怖い顔に拍車をかけている。
口が裂けても、あなたは結界師ですかとは、聞けない雰囲気をかもしだしている。
だれも近づいてはいけない、そんな雰囲気をかもしだしている。
結界師というよりは、町内の魔除け的存在だな、これは・・・。
なんてこと思いつつ、また、それにしても、自転車屋さんとはいやにご縁があるもんだ、東雲東雲さんって人は、あの炎天下で熱中症になりかけて、塩アメで生き返ったとおっしゃっていたユーレイの身内の方かな? なんてことも思いつつ、自転車屋さんに向かった。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。