「もらい物ですが、差し上げます。ですから、あたし、お精霊舟を編んでいるところの見物に行ってもいいですか?」
カヤと竹で編んだ舟、その舟が仕上がっていく工程を見ていたら、悲しい気分も、飛んでいくかも、いや、飛んでいくはずだ。
「場所を教えていただけますか?」
しかし、策作じいさんは、首をふる。
「アホか、キツツキは。ええはずないやろ?」
アホと言われ、記憶は、ひゅるる巻き戻る。
あの賢作さんを、会いたいと願っていた賢作さんを、よりによって変態呼ばわりしてしまうなんて・・・。
「はい! あたし、アホです! キッパリと! 誓って! 神かけて! 失礼千万な、どうしようもない、アホです、ううううぇーん」
「そそ、そこまでは、アホやないと思うで、わいは。キッパリとアホくらいにしとき」
「うううううぇーん。・・・それ、なぐさめに、なってませんから・・・」
「あのな、ええはずないっていうんはな、ヒスイは自分で見つけてこそお宝になる、ってことや」
「ううううううぇーん。そ、そんなこと、百も しょ、承知ですから・・・」
「ほな、なんで、二人で力を合わせて、お宝級のを見つけるなんてゆうたんや、ってか?」
「うううううぇーん。べ、別に聞いてませんけど・・・」
「そんなん、言葉の綾、」
「ううう、うえーん、あ、綾なんですか」
「いや、ちがう、かもしれん」
「うっうっ、じゃあ、なんなんですか?」
「ほんとのこと言うとな」
「うっう」
「おまえ、キツツキと一緒に探したら、」
「うっ、あたしと、一緒に、探したら?」
「なんや楽しい気分で探せそうやろ?」
「う、川に、行きましょう」