そのとき、ニョロタは、草のかげからキツネがヒヨコをねらっているのに、気がつきました。
「あぶない!」
ニョロタはキツネの足にかみつきました。
キツネはびっくりして、にげていきました。
そのとき、ヒヨコが目をさましました。
「あっ、おかあさん!」
「な、なんだよ」
ヒヨコは、じっとニョロタを見つめながら、かなしそうにききました。
「おかあさん、ぼくが、おかあさんみたいに白くなくてきいろいから、ぼくのこときらいなの? それとも、おかあさんみたいにほそくなくて、まんまるだからきらいなの?」
「そ、そんなこたあねえよ」
ニョロタは、小さいころのことをおもいだしました。
からだが白いとみんなにいじめられていたニョロタでしたが、おかあさんひとりだけは、いつもニョロタのみかたでした。どんなときでも、ニョロタを、まもってくれました。
「ニョロタ、おまえはみんなとちがういろをしていて、いじめられることがあるかもしれない。でも、ニョロタ、どんないろでもニョロタはニョロタ。おかあさんのたいせつなニョロタなんだよ。つよくなりなさい。そして、じぶんにじしんをもって生きなさい」
そのおかあさんも、にんげんのいえにしのびこみ、手のりインコをたべたのが見つかって、ころされてしまいました。
「ねえ、おかあさん、ぼくのこときらい?」
ニョロタはヒヨコのこえにはっとしました。
「きらいじゃねえよ。おまえとオレじゃあ、かたちもいろもちがうがな」
「うわぁい。おかあさん、ぼくのこと、きらいじゃなかったんだ!」
「だけど、オレは、おまえのおかあさんじゃない。ニョロタってんだ」
「ニョロタおかあさん」
「だから、オレさまは・・・。まっ、いっか。オレがこいつのおかあさんになってやっても」
「じゃあ、ピヨタ、行くぞ」
「えっ、ぼくのなまえ? おかあさんとなんだかにてるね」
ピヨタは、うれしそうにニョロタのあとをついてあるきはじめました。
だからちがうんだってば(3/4)
文・山庭さくら 絵・井上真一