つなぐ(3/10)

文・藤 紫子  

「今日は、こんな感じでいかがでしょう」
ひとかかえもある花束は、細かな白い花々でふんわりと仕上がっていました。

まんなかの、三本の大きな赤い花が印象的です。
中ぐらいの黄色の花と、うすい緑の小ぶりの花がいろどりをそえています。
おじいさんはにっこりほほえみました。
「きれいですな。これでお願いします」

お店の人は日向のような笑顔でこたえました。
花束は、とうめいなビニールと、白とうすい黄色の、布のような紙に包まれました。
もっときれいになった花束を見て、おじいさんは目を細めました。

藤 紫子 について

(ふじのゆかりこ) 札幌市生まれ。札幌市在住。季節風会員。小樽絵本・児童文学研究センター正会員。12年ほど町の図書館員をしていました。子ども向けのお話と好き勝手な詩(https://ameblo.jp/savetheearthgardian/entry-12601778794.html)を書いています。自然・ドライブ・博物館・棟方志功氏の作品・源氏物語・本(本なら問題集でも!)が好き。