お守りを探しているあいだに出発していた電車は、まもなく次の駅に着きました。
花束を持ったおじいさんは、とびらが開くと同時に降りました。
「時音駅へもどる電車はいつだ!」
はやる気持ちで電光けいじ板を見上げると、25分もあとのことでした。
「ああ、何てこと・・・」
ベンチにこしかけましたが、すぐに立ち上がりました。
電車が見えないか線路をのぞいてみたり、何時になったか時計をたしかめたり、まだあと何分もあるとため息をついたり、じっとしていられません。
「長い。まだか。まだ来ないか」
いつもなら、25分はどうってことはありません。
でも、今は、1時間にも2時間にも感じられます。
「もっと気をつけておれば・・・」
ついには、後悔の気持ちが押し寄せてきました。