「さあて。これで安心して神楽山へ行ける。親切などなたかのおかげだ」
右がわのポケットのあたたかさに満たされていると、ふと、あることが気になりだしました。
「このお守りをここにかけてくれたのは、いったいどなただろう」
おじいさんはふたたび、駅の窓口に行きました。
こんどは別の駅員さんがおりました。
おじいさんは、お守りが見つかったことと、見つかったられんらくをしてほしいという書類は、もう必要なくなったことを説明しました。
「かしこまりました。見つかって良かったですね」
おじいさんは、大きくうなずきました。
「それでだ。ご親切な方にひとこと、お礼を申し上げたい。どなたさんなのか、知りたいのだ。探してもらえないかね」
「はあ・・・」