つなぐ(8/10)

文・藤 紫子  

すっかり刈り取りが終わり、冬支度が整った田んぼのうねを、おじいさんはなるべく急いで横切ります。
ここは通い慣れた道ですが、今日はもう疲れておりますし、いつもよりずっと遅い時間なので、のんびりしていたら日も暮れはじめてしまいます。

田んぼがつき、かれ木の立ちならぶ低い山のふもとに来ました。
その山は切り立ったがけになっており、がけには小さな穴がいくつも開いています。
小さいといっても、大人ひとりが体を小さくして通りぬけられるくらいの大きさはあります。なかは、大人20人くらいが入れるもの、2、3人くらいしか入れないもの、中くらいのものなどがあります。
穴によっては、奥で穴同士がつながっているものもあります。

藤 紫子 について

(ふじのゆかりこ) 札幌市生まれ。札幌市在住。季節風会員。小樽絵本・児童文学研究センター正会員。12年ほど町の図書館員をしていました。子ども向けのお話と好き勝手な詩(https://ameblo.jp/savetheearthgardian/entry-12601778794.html)を書いています。自然・ドライブ・博物館・棟方志功氏の作品・源氏物語・本(本なら問題集でも!)が好き。