つなぐ(9/10)

文・藤 紫子  

「さようですか! まさか、こんなに早く見つかるとは思ってもいなかった。実にうれしい! 力になってくださった駅員のみなさんに、お礼を申し上げます」
おじいさんは顔いっぱいが笑みになりました。

「手紙を持ってきてよかった。その方々の手に、近いうちに渡るのだからな」
集まっていた駅員さんも駅長さんも、満足そうにうなずきました。

「お二人にお話をうかがいましたら、電車を降りられ、会話されながら改札へ向かって階段を上っていたところ、お客様のお守りを見つけたそうです。すぐに探しに来られるかもしれないからと、こちらの窓口には届けられずに手すりにかけたのだそうです」

藤 紫子 について

(ふじのゆかりこ) 札幌市生まれ。札幌市在住。季節風会員。小樽絵本・児童文学研究センター正会員。12年ほど町の図書館員をしていました。子ども向けのお話と好き勝手な詩(https://ameblo.jp/savetheearthgardian/entry-12601778794.html)を書いています。自然・ドライブ・博物館・棟方志功氏の作品・源氏物語・本(本なら問題集でも!)が好き。