「さようでしたか。いや、正直、若い方々がそんな心づかいをするものとは思っておりませんでした。お恥ずかしい」
「いえいえ。それはわたくしも同じです。昨日は大変感心いたしました。うちの新米もお守りを拾われた方々と似たような年でして、彼にかたよった見方をしていたかもしれないと、わたくしも気づかされましたよ」
その新米の駅員さんが、お盆にお茶を持ってきてくれました。
おじいさんと駅長さんは、ありがたくいただきました。
ほろ苦さが口のなかに、じんわりと広がりました。
のども心もうるおったところで、おじいさんはポケットから手紙をそっと取りだしました。
「駅長さん。お二人にお渡しのほど、どうかよろしくお願いします」
「はい、かしこまりました。必ずお渡しいたします。ご安心ください」
駅長さんの快い返事に、おじいさんは深々と頭を下げました。