ふしぎなぴりーこぱん(3/7)

文と絵・エンプティ・オーブン

「ちーん・・・・」
あっけにとられた気もちをひょうげんしたくて、あんこちゃんは「てん、てん、てん」のところまで、声に出して言ってみた。

「そんなわけないじゃん。ボールがホットケーキを作れるわけ・・・」
あんこちゃんが言いおわらないうちに、ぴりーこぱんが「しーっ!!」とさえぎってきた。
「そんなこといったら、ボールさんがかなしくなっちゃうでしょ! かなしくしないで、たのしくするの! あんこちゃんもてつだって!」

というわけで、二人は、キャッチボールをしてあそぶことにした。
ボールはポンポンはずむのがすきだから、ゆかで一回はずませてから、キャッチするんだって。
ポンポン。
一回はずむと、高くはずんだり、ちょっとちがうほうへとんで行ったりして、うまくとるのがなかなかむずかしい。

ポンポン。
あんこちゃんはこのあそびを楽しんでいた。
ボールもいっしょに楽しんでいるのかは、よくわからなかったけど。
ポンポン。
ポンポン。

ボールはあんこちゃんとぴりーこぱんの間を、なんども行ったり来たりした。
何回なげたかわからなくなったころ、ぴりーこぱんが声をあげた。
「ほら!みんながたのしくなったから、ボールさんもたのしくなって、ホットケーキをだしてくれるよ!」

エンプティ・オーブン について

1985年埼玉県生まれ。子供のころから本が好きで、自分でも絵本を作ったり、マンガを描いていました。二児の母になってからは、わが子に読み聞かせるための絵本を作ってきました。小学校の読み聞かせボランティアにも参加しています。娘がが小学生になるのを機に、童話を書き始めました。たくさんの人に楽しんでもらえるお話を書きたいです。