ふしぎなぴりーこぱん(4/7)

文と絵・エンプティ・オーブン

あんこちゃんは顔をあげた。
すると、へやのまんなかに、木が生えていた。

「どゆこと?」
少しの間、あんこちゃんはかたまっていた。
木は風もないのにサワサワはをゆらしている。
木のみきのまんなかあたりに、うっすらと顔が見えた。
わらいをこらえている。
ここでようやくあんこちゃんは、ぴりーこぱんが木にへんしんしたのだと気がついた。
木がゆれているのは、笑っているからだった。

あんこちゃんは大きな声で言った。
「ぴりーこぱん、みーつけた!」
「ええ~っ! どうしてすぐわかったの?」
ぴりーこぱんはしゅるしゅると小さくなって、人間のすがたにかわりながら言った。

「かんたんだよー。おうちの中に木が生えてたらおかしいもん」
あんこちゃんはとくいげに言った。
ぴりーこぱんは、ぜんぜん気づいていなかったみたいで、かんしんしたようすで言った。
「ああ~、そっか~! あんこちゃんすごいね! たんていさんみたい!」
「そんなすごいかな? えへへ」
ほめられて、あんこちゃんはちょっとうれしくなった。

「じゃあ、つぎはわたしがかくれるからね!」
すごい、ってほめられたし、かんたんに見つかるわけにはいかない。
それに、ここはあんこちゃんの家。かくれるのにちょうどいいばしょはよく知っている。
「もういいかーい」「まーだだよ」
「もういいかーい」「まーだだよ」
「もういいかーい・・・」

エンプティ・オーブン について

1985年埼玉県生まれ。子供のころから本が好きで、自分でも絵本を作ったり、マンガを描いていました。二児の母になってからは、わが子に読み聞かせるための絵本を作ってきました。小学校の読み聞かせボランティアにも参加しています。娘がが小学生になるのを機に、童話を書き始めました。たくさんの人に楽しんでもらえるお話を書きたいです。